ピロリ菌感染と除菌治療について
ピロリ菌とは?
ピロリ菌(ヘリコバクター・ピロリ)は、胃の粘膜に生息する細菌で、慢性胃炎・胃潰瘍・十二指腸潰瘍・胃がんの原因とされており、日本人の胃がん予防において非常に重要なターゲットです。
当院での検査と治療の流れ
① 胃内視鏡検査(保険適用の前提条件)
まずは胃カメラによって、慢性胃炎(萎縮性胃炎)の有無を確認します。保険診療でピロリ菌検査・除菌治療を行うには、この内視鏡検査が必須です。
② ピロリ菌感染検査
慢性胃炎が確認された場合、ピロリ菌感染の有無を以下の方法で調べます。
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- 尿素呼気試験(UBT)
- 抗体検査(血液または尿)
③ 除菌治療(1次除菌)
使用薬剤(代表的な例)※1週間服用
- タケキャブ(ボノプラザン)20mg:胃酸の分泌を強力に抑える薬 … 1日2回
- クラリスロマイシン(クラリス)200mg または 400mg:抗生物質 … 1日2回
- アモキシシリン(アモリン)750mg:抗生物質 … 1日2回
服用は毎日朝・夕の食後に7日間連続で行います。途中で中断しないようご注意ください。
副作用について
下痢、軟便、味覚異常、発疹、腹部不快感などがありますが、大半は軽度で自然軽快します。重篤な副作用が出た場合は、速やかに受診してください。
④ 除菌判定(治療後の確認検査)
- 除菌終了後4週間以上あけてから、尿素呼気試験(UBT)を実施します。
※これ以前に検査をすると、薬の影響で“偽陰性”になる可能性があります。 - 判定方法:陽性であれば除菌失敗、陰性であれば成功と診断します。
⑤ 2次除菌(1次除菌が無効だった場合)
1次除菌が失敗した場合、別の抗生物質に変更して2次除菌を行います。
- ボノプラザン20mg … 1日2回
- メトロニダゾール250mg … 1日2回
- アモキシシリン750mg … 1日2回
こちらも7日間服用後、同様に4週間以上経過してから呼気試験で効果判定を行います。
スケジュールまとめ
ステップ | 内容 | タイミング |
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初回診察 | 胃カメラで慢性胃炎の有無を確認 | 受診初日 |
感染検査 | 内視鏡所見に応じてピロリ菌検査 | 同日または後日 |
除菌開始 | 1週間の薬の服用開始(朝・夕の食後) | 診断から数日以内 |
除菌終了 | 服薬終了 | 除菌開始から7日目 |
判定検査 | 呼気試験で除菌効果を確認 | 除菌終了から4週間以上後 |
再除菌(必要時) | 2次除菌(別の抗菌薬を使用) | 判定結果が「陽性」の場合 |
注意事項
- 市販の胃薬や抗生物質を自己判断で使用しないでください。
- 除菌後も胃がんのリスクがゼロになるわけではないため、1〜2年に1回の内視鏡検査を継続しましょう。
ご予約・ご相談
ピロリ菌の検査や除菌治療をご希望の方は、当院までお気軽にご相談ください。
WEB予約も可能です。